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『平成21年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について』の統計資料の訂正を文科省に要求いたしました。
文科省が公表した『平成21年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について』におきまして、少なくとも、「加害児童生徒に対する関係機関の措置状況の推移」には疑義があり、担当者に変更を要求いたしました。 (平成21年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」についてのサイト) ここにある「加害児童生徒」とは、「対教師暴力の状況」「生徒間暴力の状況」「対人暴力の状況」「器物損壊の状況」に計上された「加害児童生徒数の数値を合計したもの」とありますので、上記各行為をなしたものと思われますが、
(1) 司法統計 2001年(平成13年)4月1日から2006年(平成18年)3月31日まで 最高裁判所事務総局家庭局の平成18年6月「平成12年改正少年法の運用の概況」(平成13年4月1日〜平成18年3月31日)によれば、 刑事処分可能年齢の引下げ(少年法20条1項)について以下が記載されています。 平成12年改正前は,終局決定時16歳未満の少年について事件を検察官に送致することはできなかったが,改正後は,終局決定時14,15歳の少年についても,家庭裁判所の調査の結果,刑事処分を相当と認めるときは,検察官に送致することができるようになった。 平成13年(2001年3年)4月1日から平成18年(2006年)3月31日までに終局決定時16歳未満の少年について事件を検察官に送致した例は,資料1のとおりです。 (資料1) 一般事件 人数 終局時年齢 備考 傷害致死 2 各15 共犯事件 強盗強姦 1 15 (注)このほか,交通関係事件での検察官送致事例が2人(いずれも原動機付自転車の無免許運転による道路交通法違反の事案で,終局決定時年齢は各15歳)。 なお、上記「一般事件人数終局年齢」の3人は、いずれも中学校卒業後の事件です。傷害致死2は水戸家裁のもので、刑事裁判で家裁送致され、最終的に保護処分となりました。強盗強姦1は福島家裁郡山支部のもので、これは刑罰が科されました(ただし、有罪確定時には16歳になっていたはずです)。 (2) 以後の司法統計年報(少年事件) 年次(1月から12月)(ただし、一般保護事件) 平成18年 終局決定時14歳、15歳の検察官送致(刑事処分相当)なし (行為時 14,15歳4人 内訳窃盗1、恐喝1、わいせつ1、特別刑法犯(その他)1) 平成19年 終局決定時15歳の検察官送致(刑事処分相当)1 (行為時 14,15歳4人 内訳盗品譲り受け1、傷害1、傷害致死2) 平成20年 終局決定時14歳、15歳の検察官送致(刑事処分相当)なし (行為時 14,15歳なし) 平成21年 終局決定時14歳、15歳の検察官送致(刑事処分相当)なし (行為時 14,15歳なし) です。 中学生が刑務所入所というのは寡聞にして知りませんが、仮に上記が中学生だったとしても、文部科学省の調査 平成18年度(刑務所入所中学生7人) 平成19年度(同中学生6人) 平成20年度(同中学生16人) 平成21年度(同中学生4人) とは大幅に違います(司法統計の平成19年・終局決定時15歳の検察官送致(刑事処分相当)1が仮に中学生だとしても、この間1人しかいないのです)。 上記のように明らかに誤った数値が一人歩きするのは文部科学省の責任が問われます。 おそらく学校からの報告をそのまま計上したものと推測されますが、そうなるとこの調査全体の真偽が疑われるものと思料いたします。 追って、上記司法統計では「一般保護事件」しか掲載していません。他は交通関係事件ですので、仮に刑事処分相当として検察官送致されたケースがあるとしても、上記「加害児童生徒」の定義である、「対教師暴力」「生徒間暴力」「対人暴力」「器物損壊」には該当しませんので、文部科学省の調査の数値とは関係ないことを付加します。 警察の統計(少年非行等の概要 平成21年(2009年)1月 〜12月) 校内暴力の統計 |
− 子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会 (子どもと法21) − | |||