PTAとは何か? PTAの学校運営参加について
昨年の11月30日、東京の国立市公立小中学校PTA連絡協議会(略P連)主催の学習会に講師として呼ばれ、話をしてきました。テーマは「PTAって、なあに?」です。私が全国PTA問題研究会(略・全P研)に所属していることが縁で、このような機会を得ることができました。PTAに関する講演は、他の地域でも数えきれないほどしています。しかし、このようなことが起きたのは、初めての体験です。
講演内容は、PTAの基本的なことでした。
PTA活動に関わったことがある人、現在そして過去にPTA会員だった人は沢山います。それなのに、PTAの基本がわかっていない人たちがいかに多いことか…と嘆いてしまいたくなります。
PTAは「社会教育関係団体」ということが、社会教育法で規定されています。
社会教育関係団体は「公の支配に属しない」自主的な民間団体であること、教育行政との関係では、統制的支配や干渉をしてはならないと明確に規定しています。つまり、これはPTAと学校の関係でもあります。
それなのに、国立市立小中学校校長会は、会長名(角印も押して)で次のような事柄の文書をP連に出しました。
その校長会文書で「講師(味岡)の話が、PTAの現状をほとんど否定するに等しい認識を示されたり、学校とあえて対立するように主張。現状のPTAのしくみを破壊するような意図さえ感じとられ、校長の学校経営にもかかわる重大な問題を含んでいます」と言われてしまいました。
私は、国立のP連活動に対して、否定どころか、すばらしい活動をしていると感じているのですが……。1つ例を上げると、P連は輪番で教育委員会を傍聴し、その情報をそれぞれの小中学校PTA(単P)を通して全会員に提供しています。
では、私の話が、現PTAを否定したり、破壊したり、校長の学校経営にかかわるようなことを言っているのか? ということです。
私の話では次の4点を挙げていました。
PTA会員になるかならないかは自分の意志で決める。PTAは任意団体である。
会長の権限は、会議の召集権ぐらいと思った方がいい。
教師は、教師としてではなく、一市民としてPTAにかかわる。学校の縛りから解放されたところでかかわるというのが原則である。
校長先生は、PTAの一会員である。
これらはPTAの基本なのですが、校長会は「今回の学習会のまとめは、講師の個人的な私見を詳しく載せただけの、一種のビラに近いようなものではないかと思われます。従って、校長としては、児童・生徒の手を通じて配布するには適しないと判断しております」ということで、今回の学習会のまとめをP連が各単Pを通して全会員に配布できない状況になっています。
そして、国立市議会では、この問題が取り上げられ、5人の議員が質問に立ちました。定例の教育委員会でも取り上げられました。
でも、校長会が本当に言いたいのは、日頃のP連の活動についてなのです。
同じ校長会の文書の中にあるので、一部載せます。
「12月4日付の第4回P連定例会のまとめによりますと、(P連の)会議では、専科教員の増員とか各校卒業式の内容(フロア形式云々)とか、学校の人事や学校行事の内容にまで立ち入って話し合い、しかもそれを各単Pでも意見を出してくれるように要請したりしています。また、2月5日のP連第7回事務局会レジュメでは、協議事項の中に、3、卒業・入学式について、とあります」ということを前置きにして、「卒業式や入学式は学校の教育課程施行の問題であり、学校の管理運営事項はもとより教育課程の実施そのものであります。これを議題として取り上げるのは、明かにPTA活動から逸脱していると言わざるを得ません。
校長の権限と責任で定める卒業証書の様式についても、各単Pからの意見を集めておいでのようですが、これもPTAの活動として行うなら、学校の管理運営事項、校長の職務に介入する疑いが生ずるという点において、問題があると考えます。」
これらのことについて、石井小夜子弁護士は、以下のように述べています。
校長会の文書は、『国旗・国歌』にかかわるものと、卒業証書に関わるものですが、「思想信条の自由」「表現の自由」という基本的人権にかかわるもので、子どもや親に拒否権や異議申立権があります。P連としてこのようなことをどう考えるのかを問題提起することは、何ら問題がありません。
それだけでなく、校長に決定権限があるものについても、P連が内部で協議することは何ら問題ないし、協議を申し出ることも問題はないのです。
これらは、校長権限の介入でも何でもないのです。校長は、その申し出を受け協議する義務があり、その要求に応じられない場合は、誠実にその理由を説明する義務を持っています。
(詳しくは、全国PTA問題研究会発行「PTA研究」321号参照)
問合せ先 03-3439-0170 (月・水・金 12:00〜15:00)
<通信02.4月号より>
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