少年法の厳罰化 〜あいた口がふさがらない!〜
「少年事件に厳格に臨むために」と、法務省は少年法制の見直しを法制審議会に諮問しました。来年の通常国会へ法案提出を目指しています。
法務省が示したこの要綱案をどう読んでも、私は、子どもたちの更生を考えているとはとても思えません。それどころか、少年たちを社会から排斥し抹殺することになりかねないと危惧してます。
要綱案の柱の一つに「保護観察中に順守事項に違反した少年の少年院送致を可能にする」があります。これでは保護司は子どもたちを常にチェックし法務省にチクルための存在でしかなくなってしまいます。
今まで担当してきた子どもたちの順守事項のほとんどは「規則正しい生活を送り、まじめに仕事(学校)に通い、不良少年たちと連絡を取り合わないようにする」と、なっています。このような順守事項を今日明日で守れるならば非行少年にはなっていないでしょう。
逆を言えば保護観察が成り立たなくなり、ほとんどの少年を少年院に送致することになるのでしょうか・・・もはやこれは社会的なネグレクトだとしか言いようがありません。
言うまでもなく子どもたちは突然非行少年になるのではなく、複雑な大人社会の中で排斥されたり孤立させられたり・・・人としての尊厳をズタズタにされてと、それなりの経過が必ずあります。そんな子どもたちを受け止め励まし慰め・・・信頼関係をつくっていくまでにはずいぶんと時間がかかります。一定の信頼関係ができて始めて、彼らは安定感を得て自分に気づいていくのです。そしてゆっくりと、行ったりきたりしながら大人になっていくわけです。
何でもかんでも少年院に入れようとの発想は、あまりに感情的です。
確かに保護監察官の不足と保護司の高齢化、専門性の不足はかなり深刻なものがあります。少年法の厳罰化ではなくこちらの改善こそが急がれるべきだと思うのですが・・・
なぜそれができないのでしょう。本当に不思議で情けない!
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