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少年法「改正」に関する声明
本日、与党修正案をもって少年法「改正」法案が可決された。 政府法案は、「少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加し、強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移している上、触法少年による凶悪重大な事件が発生しているなど、少年非行は深刻な状況にあり、法整備が必要とする」という理由で提案された。しかしながら、審議をする中で、上記提案理由は理由がないこと、すなわち、立法事実の存在はないことが明らかになった。 政府法案は、衆議院段階で、与党議員も含めて数々の疑問が提起され、その結果、与党は修正案を出すことを余儀なくされた。たしかに一部については前記疑問に応える修正案ではあったが、本質的な問題については何ら修正されていない。これまで原則児童福祉の対象であった触法少年について少年司法にシフト化、警察権限の拡大、威嚇と制裁で少年を管理等々数々の問題があり、結局厳罰化の「改正」である。提案者及び政府関係者の答弁は形式的なものに終始、疑問には誠意ある回答がなされていない。このことは参議院段階において数多くの付帯決議が付されたことからも明らかである。 本年2月2日、国連・子どもの権利委員会は「少年司法における子どもの権利」に関する一般的意見を採択(一般的意見第10号)した。ここでは、「公共の安全の保全が正当な目的である」ことを認めつつ、「この目的の達成にもっとも役立つのは、条約に掲げられた少年司法の主導的かつ総括的な原則を全面的に尊重および実施することである」と強調している。この意味は、子どもの権利条約及び少年非行の防止に関する国連ガイドライン等の国際文書に従い、子どもたちのそれぞれの人権を保障し、その成長をささえる社会環境を整えるということである。 「少年司法における子どもの権利」に関する一般的意見ではまた、他の条項同様、権利基盤アプローチを核にしており、国会でも議論された子どもの防御の権利も具体的に付言されている。さらに、「少年非行の根本的原因および社会問題に対する権利基盤アプローチに関して理解を深めるための積極的環境を創り出す」ことを目的としたキャンペーンが勧告され、それについては議員等の積極的関与が求められている。施設収容は「最後の手段でかつ最も短い適当な期間のみ」とされて具体的指摘もされており、「成人が行っても罪にならない行動上の問題」を「犯罪」として扱うことは子どもに対する差別であるとしている。 これらが、まったく顧みられない「改正」案である。 前回の少年法「改正」についても、国連・子どもの権利委員会からは懸念が表明されている。再び同じ轍を踏んだのである。 あらためて、抗議するとともに、今後わたしたちは、子どもの権利条約に沿った施策を実現するため、活動する。 |
− 子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会 (子どもと法21) − | |||