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日弁連子どもの権利委員会 夏季合宿企画
日時:2006年8月29日(火) 9:00〜18:00
場所:東京・弁護士会館17階 1701会議室(東京都千代田区霞が関 1-1-3)
主催:日本弁護士連合会 /東京弁護士会 / 第一東京弁護士会 / 第二東京弁護士会
教育基本法 『改正』問題勉強会
〜教育基本法『改正』法案のここが問題!〜 9:00〜12:00 (開場8:45)
- 勉強会は以下のように進められました。
- 教育基本法『改正』法案の内容、これまでの議論状況、情勢についての報告・・・村山
裕 委員
- 問題提起・・・栗山 博史 小委員長
- 問題提起等を受けてのコメント・・・西原 博史 氏(早稲田大学社会科学部教授)・・・中川
明 委員
- 質疑応答・会場発言
分かりやすい報告のおかげで、教育基本法改正の問題点を理解したのはいうまでもありませんが、印象深かったのは会場発言に対する以下 中川委員のお話でした。
- 教育基本法第一条 教育の目的には「人格の完成をめざす」などが記述されている。これらは本来法律にはなじまないが、教育勅語に対抗するために必要だった。
- 教育の法律は条件整備に純化すべき
- 教育は教育者の良心と良識によってなされるもの
特に3.「教育は教育者の良心と良識によってなされるもの」との言葉にとても心を動かされました。
というのは、お話の様子から「教育者」の言葉には、教員のみならず、両親などすべての大人を含まれているように感じたからです。
また「教育者の良心と良識」という中川委員の言葉は、わたしたちに深く『自分の良心に誠実に生きているか』、と問い掛けていらしたように感じたからです。
このことこそ、教育を考えるときにわたしたちが心に留める一番大切なことなのだと再確認しました。
良心と良識をもって子どもたちに精一杯教育支援ができるように、現行教育基本法は守らなければならないのだと感じ、この勉強会で学んだことを一人でも多くの方にお伝えできればと思いました。
子どもの人権救済システムの意義と限界
〜弁護士会の人権救済申立事件から〜 12:45〜14:45 (開場12:30)
- 各弁護士会での子どもの人権救済申立事例などの報告
- ハンカチ給食事件について
- 卒業式茶髪出席拒否事件について
- 丸刈り校則事件について
- 自主退学勧告事件について
- 養護施設での体罰事件について
- 人権救済活動の概要
- 意見交換・質疑応答など
この部門では、各弁護士会での子どもの人権救済申立事例が報告されたが、まったく驚くような事例ばかりであった。
中でも、「ハンカチ給食事件」は、とりわけ小学校1,2年生に対して、通算5年もの長きにわたり行われていたのだ。概略は、時間内に給食を食べきれない子どもに対して、担任の女教師が箸や食器を片付けてしまい、食べ切れていない食べ物をハンカチやティッシュに入れさせ、手づかみで食べきる事を強要したということだ。
その子どもは不登校が続き、4,5年経った時点でもPTSD(心的外傷後ストレス障害)の反応が見られるとのことだ。
まったく驚くべき事件であるが、周囲の校長や教師たちがこの事件を見過ごしにしていた事こそがもっとも大きな問題であると感じた。
結果的には、当該教師が移動し、学校側とも和解したようだが、問題の根っこが本当に解決したのだろうかとの疑問は強く感じた。
報告後、質疑の中でこの事件のことが質問されていたが、新聞にも報道され、弁護士会が関与する事になったため、訴えた親子は現在でも地域の中で孤立しがちだと弁護士さんが返答されていた。こうした事件に遭遇してしまったときに、どうしたら地域の人々と連携しながら子どもたちを守り、サポートする事ができるのかと深く考えさせられた。地域で生きていく子どもたちのために、地域で根を張った活動の必要性を深く感じた合宿であった。
「少年法「改正」法案 問題点の解消を求める市民集会」
PartV 15:00〜18:00 (開場14:45)
- 開会の挨拶
- 講演
- 少年法「改正」に関して思うこと・・・毛利甚八さん(作家)
- 少年法「改正」や警察などの動向とその背景・・・村井敏邦さん(龍谷大学法科大学院教授)
- 各界からの発言
- 高校の先生から
- 自答自立支援施設から
- 児童相談所から
- 全国地域婦人団体連絡協議会から
- 各地の取り組みの報告
- 奈良県少年補導条例施行後の動向
- 神奈川県「学校と警察との情報連携に係る協定書」づくりの動き
- ケース報告
- 閉会の挨拶
毛利さんのお話は、前回の子どもと法・21他市民団体で行った院内集会のとき同様、子どもの視点からのお話でした。(1)少年法の「改正」は、大人が問題に対処したふり。一番大変なところは現場にまかせっぱなしである。(2)少年に携わる分野はいろいろあるが、それぞれの分野の人は他の分野のことを知らない。一人の少年をみんなで、それぞれの持ち場でパスし合いながら育てていくという環境になっていない。(3)地方は東京の「あまりもの」を消費するだけになってしまった。そこの大人を見ている少年の不安が大きくなっている。大人が自覚し変えていく、変わらねばならない、というお話でした。
村井敏邦さんは、用意されたレジュメを使って、少年法「改正」について、警察などの動向についてのお話をいただきました。「多様な人、多様な見方がある。自分の見方だけではないということを認識することが根本」という言葉は、まさにそのとおりだなあと、強く印象に残りました。
各界からの発言も、子どもを信じることの大切さや、子どもたちの気持ちをかたくなにしないということの大切さを、改めて教えてもらえるお話でした。
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