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少年法「改正」法案
問題点の解消を求める市民集会 PartIV
日時:2006年6月6日(水) 18:0 〜21:00
場所:東京・弁護士会館2階講堂クレオA
主催:日本弁護士連合会、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会
4回目となる日弁連、東京三弁護士会主催の市民集会です。100人を超える方が集まったとのことでした。参加された会員の方から報告が届いていますので、お伝えいたします。
- 講演
平山正剛日弁連会長の挨拶の後、広田照幸さんの講演がありました。
広田さんは以前、子どもと法・21でもお呼びして集会を持ったことがあります。
- 広田照幸さん(東京大学大学院教育学研究科教授・教育社会学専攻)
「少年非行の実情及び子どもを取り巻く環境から見た少年法『改正』法案の問題点」
統計資料とレジュメを見ながら、お話いただきました。
- 少年非行の実情をどうみるか
統計資料を見ながら、日本は他国と違って、10代半ばをピークに検挙・補導される者が減っていく社会。これは、いろいろ悩む時期に罪を犯すが、成長するにつれ罪を犯さなくなるということ。教育社会学的には、まさに「すばらしい社会」と言える。
- 「改正」法案の問題点
今までのよい部分を壊してしまう法案。
- 「虞犯の疑いのある者」の調査権を警察に与える点
- 警察の通告が、送致へと変える点
- 懸念
青少年の自立のためには大人から離れて、同世代間での交流が必要。
大人がまるごと子どもを抱えよう、コントロールしようという考え方は、子どもの成長にとってプラスではない。
以上のようなことをお話いただき、まとめとして次のようなことをお話されたのが印象的でした。
現状況が少年犯罪が本当に凶悪化しているなど、ひどい状況ならば、私も改正に賛成するかもしれない。しかし今は、そんな状況ではなく、今までの福祉−教育モデルはうまくいっている。この長所を破壊するような法案には反対する必要がある。
- ビデオレター
広田さんのお話の後は、武内謙治さん(九州大学大学院法学科研究院助教授・刑事法学)が新たに「改正」法案の問題点を、ビデオレターにて説明してくださいました。
個人的には、警察調査の問題点のお話が印象に残っています。
その次は、「大阪地裁所長襲撃冤罪事件」の少年のインタビューがありました。
この少年は当時14歳。それなのに朝から夕方までの警察官の取り調べ。警察官は机を蹴ったり、髪を引っ張ったり、首を絞めたりしたそうで、少年が反抗すれば余計暴力はひどくなったとのこと。
2ヶ月取り調べが続きましたが、1ヶ月半で虚偽の自白をしたそうです。友達も自白しているぞと言われたそうですが、本当は自白していなかったということも後でわかったとのこと。
「自分はやっていない」と言えない取り調べ、「心を潰された」という少年の言葉の重さを感じました。
- 意見表明
ここでは、6名の方から発言がありました。
児童福祉司、学校の現場からお二人、弁護士、全司法、フリースペースからの発言でした。
内容は割愛させていただきますが、東京の児童福祉司さんからは、東京には159名の福祉司がいるが、カツカツ状態。一人で130〜150件を抱えていて、一人ひとりに向き合う余裕がないという現場の声を聞きました。
学校現場からも、生徒と教師の信頼を根本から崩す今法案への疑問が訴えられました。
また、子どもは過ちを犯すが立ち直るものであり、そのための家族であり、学校であり、社会である。
子どもは悪いことをするものだから、矯正しなくてはならないという考え方はおかしいという発言もありました。
- 議員からの発言
- 平岡秀夫議員(衆・民主)
共謀罪の審議がずっと続いている。これは国民の多くが問題点をわかってきた結果。
少年法はまだまだ知られていない。継続して運動を続けて欲しい。
社会全体で取り組んでいかねばならない問題だ。
- 高山さとし議員(衆・民主)
共謀罪では、与党は結局国民の声を聞かざるを得なくなった。
少年法の「改正」も的はずれだということを関心のない人に訴えてほしい。
- 保坂展人議員(衆・社民)
あらゆる少年が見張られてしまうということを声を大きく伝える必要がある。
いろんな問題ある法律に関わる運動と連携して闘っていかねばならない。
- 仁比聡平議員(参・共産)
子どもとどう向き合うかの問題。「体感治安の悪化」という言葉がよく使われる。
少年法の問題では、このことと、被害者の問題が混在となってしまっているのでは?
東京でのこうした集まりを、ぜひ全国に広めてほしい。
この後、松本光寿日弁連副会長から閉会の挨拶があり、30分の延長となった、中身のある集会が無事に終わりました。
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