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2006.02.21学習会報告
日 時:2006年2月21日(火) 18:30〜20:30
場 所:弁護士会館
内容:2000年の少年法「改正」後の状況と、今回の「改正」について
お話:全司法労働組合 調査官
<はじめに2000年「改正」後の状況について>
- 少年による重大事件が増加しているという状況のもとで、2000年「改正」少年法が施行された。しかし実際には90年代以降、重大事件は減少しており、周辺の事情などを冷静に鑑みたものとは言えない。
- 重大事件等については、原則検察官送致(原則検送)とすることになったが、但し書きがあるため、実際に検送となる例はあまりなく、送致されても差し戻しになる例がほとんど。しかし、この項目があるために、若い調査官に検送に対する抵抗が少なくなっている気がする。
- 少年側に付添人を付けるという点に関しては評価できる。
- 少年審判では、「非行事実の認定」と「要保護性の判断」が行われるが、このうち検察官が関与するのは「非行事実の認定」のみである。しかし、実際には「要保護性」にまで検察官が関与する場合もある。また、最近は「非行事実」を重視する傾向になっており、大人を裁く考え方に近づいている感じである。
- 「保護者に対する措置」について、親の学習会や少年と親を交えたキャンプ、社会奉仕活動などを行っている。本当に必要なのは面接等の地道な働きかけであるが、表に出やすい活動が重視される傾向がある。
- 「被害者への対応」については、修復的司法が可能ならそれが一番よいと思うが、実際には様々な点で難しい。児相、調査官、保護司などは、非行少年の対応でいっぱいになっており、被害者対応までは手が回らないのが現状である。また、拘置中の少年の教育権の確保も重大な問題だが、周囲との調整項目が多く、担当の調査官は大変な労力を要する。
<今回の「改正」について>
- いわゆる「5年後の見直し」とは別枠で行われるものである。3月には国会に法案が提出されるが、検討は会期末までずれ込む見通し。
- 全司法では提言を出しているが、20条2項(検察官関与)を完全に外すことは、今の社会情勢を考えると難しいのではないか。調査官でも意見がまとまっておらず、今回の提言には入れなかった。
- 現場はとにかく人手が足りない。少年刑務所の刑務官は、少年200人に対し1人という状態である。家裁の調査官は全国で約1500人、うち600人くらいが実際に少年事件を担当している。保護監察官が全国で700名くらい。(警察官は東京の某区だけで700人!)
今年、調査官3名、保護監察官は20名増員になったが、それでも全く不足である。
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